やる気は続かないもの
運動でも勉強でも(大人であればビジネスでも)、成功した人は必ず努力を継続しています。努力を継続できさえすれば、大抵の目標は達成できます。しかし、一度決意したことを必ずやり遂げられるほど意志の強い人はまずいません。なぜなら、やる気は徐々に低下し、やがていつもの気分に戻るのが当たり前だからです。やる気になっている時には、脳内でアドレナリンというホルモンが分泌されますが、このアドレナリンは身体が緊張状態の時に分泌されるもので、継続的に出続けるということはありません。つまり、努力を続けるためには、まず「やる気は続かない」ということを前提にしないといけないということです。その上で、やる気が続かなくても努力を継続することが可能になるような工夫が必要なのです。
三日坊主を恐れない
いざやる気になって何かを始めても、すぐに挫けてやめてしまうことを、失敗の代名詞としてよく「三日坊主」と言いますが、一応行動は起こしたという点で、ここでは敢えて肯定的に捉えてみましょう。例えば歴史の暗記をしようとして、教科書をしっかり読もうと張り切ったとします。残念ながらそのやる気は続かず、三日坊主で終わってしまったとしても、自分を責める必要はありません。教科書がダメなら他の参考書を読んだり、問題集を解いたりと、手段を変えて何度でも始めればいいからです。(これはいろいろな教材を買うだけで満足して結局何もしないのとは違います。実際に勉強を始めるという点が重要です)。それぞれの方法が三日坊主になったとしても、歴史を暗記するという目標さえ途切れなければ、勉強は継続できます。三日坊主も積み重ねれば長期間になるということです。
努力しやすい環境を作る
アドレナリンが出ていなくても継続できる環境作りも大切です。例えば勉強の前にテレビをダラダラ見てしまって勉強がなかなかスタートできない人は、勉強とテレビの順序を逆にしてみる、または朝家を出る時に、帰宅後にやる予定のテキストを机の上に開いて置いておき、帰ってからすぐに始められるようにしておくなど、いろいろ考えられると思います。さらに高い効果を期待するなら、漫画やゲーム、スマホなど誘惑になりそうなものを排除する(捨てる、預かってもらうなど)という手もあります。ここまでやれば100%努力が継続できます。思い切りが必要ですが、やる気が出ている時にその勢いを利用して環境作りをしてしまいましょう。
達成した時のことを想像する
アドレナリンがやる気に関係するホルモンであると前述しましたが、快楽に関係するドーパミンというホルモンもあります。パチンコ店に行く人たちを対象にしたある実験によると、パチンコ店の前に並んでいる時はドーパミン濃度が高いのですが、パチンコを打っている最中はドーパミン濃度は低くなっており、大当たりが起こるとドーパミン濃度は最高潮に達することが分かったそうです。パチンコを打つ行為そのものではなく、大当たりする瞬間、つまり成功の瞬間を想像することでドーパミンが出るのです。勉強でも、クラスの誰も解けない問題を自分だけが解けた瞬間、定期試験で高得点を取った瞬間、志望高校の合格発表を見た瞬間など、想像するだけで嬉しくなってしまうような瞬間を何度も思い描いて、脳内にドーパミンを分泌させましょう。
努力すること自体を快楽に変える
これまで述べてきた方法は、どれも「努力を継続することの辛さ」を薄めたり、紛らせたりするものです。では努力すること自体を、「辛い」ではなく「楽しい」とか「嬉しい」という感情に変えることはできないでしょうか。これは勉強ではないのですが、筆者が数年前にダイエットをした際の話です。体重は減ったものの、空腹に耐えることがあまりにも辛くて、結局ダイエット生活は半年で挫折、当然体重も元に戻りました。最近再び挑戦したのですが、ある日いつものように空腹を感じた時、ふと「今この瞬間、脂肪が消費されて体重が減っているのではないか?」という当たり前のことに気が付きました。すると次の日から、空腹が辛いことではなくなっていました。大げさに言えば、空腹になるのが楽しみとすら言えるような気持ちになったのです。この時「これは続けられる」と確信しました。
よくスポーツ選手などが「好きだから」と言いますが、彼らは努力すること自体を好きになることで、普通の人には出来ない努力ができるのだと思います。人間は辛いことを長期間「我慢して」続けることはできないものです。やる気にばかり頼るのではなく、勉強することが楽しいと思えるようなアイディアを考えてみましょう。